ChatGPTのユーザー数100万人突破までの速さが異次元!
2022年11月に誕生したChatGPT(企業名:OpenAI)は、瞬く間に世界中から注目を集め、日本でも伊藤忠商事やサイバーエージェントなどで実用化へ向けた取り組みが進められています。
その後、ChatGPTのリリースを追うように、GoogleやMicrosoftなど大手IT企業が類似のサービスを展開し始めました。
超一流のIT企業がとてつもない速さで追随したのには、大きな理由があります。
それは、これからのWeb検索サービスの概念を根底から覆すと言われているからです。そんな未来の技術を一緒に紐解いていきましょう!
ChatGPTとは?
ChatGPTは、高度なAI技術によって、人間と話しているかのような自然な会話ができるAIチャットサービスです。ざっくりですが、何ができるかを下の表にまとめました。
ChatGPTの料金は無料?
ChatGPTはメールアドレス登録のみで無料プランが利用できます。
ChatGPTの有料プラン
ChatGPTには「ChatGPT Plus」というプラン名で有料プランがあります。
無料プラン(GPT-3.5) | 有料プラン(GPT-4) | |
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料金 | 0円 | 20ドル(約3,000円) ※2024年2月現在1ドル=148.5円 |
使える言語 | 日本語対応 ※40言語以上対応 | – |
入力可能データ | テキスト | テキスト 画像 |
処理能力 | 精度の高い自然言語を生成できる | 無料版よりも「抽象」をより理解し、 高度な推論や複雑な指示の処理能力向上 |
インターフェース | WEB/アプリ(iOS/Android) | – |
運営 | OpenAI ※アメリカ サンフランシスコ | – |
ChatGPTにできること
日本のAIに関する第一人者である東京大学の松尾豊教授が、ChatGPTにできることなどを整理したレポート「AIの進化と日本の戦略」を発表しました。そのレポートで記載されていたChatGPTの内容を交えて7つ紹介します。
1.一般的な質問への回答
一般的な質問に対する十分な回答ができます。「○○とは?」や「○○の使い方は?」、「〇〇時代に活躍した武将は?」など、疑問に思ったことや調べたいことの質問に対して、Googleの検索エンジンで調べかのような回答がされます。
ChatGPTに質問するときは具体性を高めたり、関連するキーワードを使用するとより回答の精度が高まります。
「今晩のレシピを考えて」と伝えるよりも、「今日は赤ワインが飲みたいから、赤ワインに合う今晩のレシピを考えて」と伝えてた方が、満足のいく回答を得られやすいです。実際にChatGPTに質問した内容と回答は以下になります。
2.文章の要約、添削や校正
ChatGPTに要約してもらいたい文章を入力して、要約してと頼むだけで終わりです。要約を頼むときに100字以内で要約してなどと頼むと、その依頼通りに要約が出力されます。
以下はwikiの「人工知能」の冒頭部分を切り出して、ChatGPTに200字以内で要約してと頼んだ回答です。要約された結果は、146文字でした。
3.対話
ChatGPTは、人間と会話しているような会話文を生成することができます。流暢な日本語で、正確な店名まで教えてくれます。
注目してほしいポイントは、「言い忘れてた!」以降のChatGPTの回答です。こちらからは再度新宿駅と指定していないのに、文脈から前回の会話の続きを話していると読み取り、続けて新宿駅東口の和食居酒屋を紹介してくれています。
また二回目の回答には、「”」の青くなったっ部分がリンクになっていて、実際に和食居酒屋の情報が確認できるようになっていました。
4.日常的なタスクのサポート
顧客や利用者へ向けたメール作成(メルマガ作成)、マーケティング情報の整理、〇〇をするときのリサーチ(メリットやデメリットの洗い出し)など私たちのビジネスを効率的に進めてくれる手助けをしてくれます。
以下は、「東京でビジネスを始める上で利点がある場所は…」の一例です。
5.言語の練習
ChatGPTは翻訳機能を備えているわけはありませんが、プロンプト(=命令)を工夫することで翻訳することができます。英語、日本語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語など50以上の言語に対応しています。
ただ翻訳の精度は、英語の翻訳精度が高いです。理由は、現状ChatGPTの学習ソースが概ね英語だからです。将来的には他の言語からも学習していくようになっていくと思われます。
正直使用頻度が低い言語(現状では英語以外)では翻訳精度が下がる傾向があります。
これはChatGPTに翻訳を頼む以外でも同様です。もし英語が利用できる方であれば、ChatGPTを使うときは英語を使って対話をした方が精度の高い情報を出力することができます。
6.アイデアの提案
一人で何かを考えているとき、何かを始めようとすると「〇〇はどう考えれば良いのか?」と悩んでしまうことがあります。そんなとき、悩みを解決するためのアイディアを無限にといって良いほど提案してくれるのが、CHATGPTです。
A)企画書やプレゼン資料が必要なときのアイデア(ひな型作成)
B)小説や映画などのストーリーのアイデア(案出し)
C)サラリーマン(飲食店スタッフ)が実現可能な副業アイデア
ChatGPTがすばらしいのは、アイデアをもらって終わりではありません。さきほど「3.対話」のブロックでお伝えしたように文脈から会話を読み取って対話してくれます。
つまり、ChatGPTからアイデアを受け取った後、そのアイデアを元に(人と話しているかのように対話を続けながら)深堀していくことができます。これができるのが、ChatGPTの一番強いところといって良いかもしれません。
「小説や映画などのストーリーのアイデア(案出し)」のChatGPTに質問した回答が英語でした。難易度が高い質問だと、英語(ChatGPTはアメリカ生まれだから母国語は英語?)で回答がされるのかもしれません。
7.プログラムコードの生成
ChatGPTは、ExcelやGoogleスプレッドシート、HTMLやC++、JavaやPythonなどのプログラミング言語でコードを記述することができます。そう、ChatGPTは、会話だけではなくプログラミングもできます。
これまで何時間をかけて書いてきたプログラムコードが、ChatGPTにより一瞬でプログラムができてしまいます。機械学習テクノロジーは、この業界に革命を起こしました。
ChatGPT活用のリアルな事例を紹介
Flora株式会社
Flora株式会社は、ChatGPTを活用し、女性の健康課題に特化したチャットアシスタント機能「Flora AI」を開発。ユーザーは健康に関する相談が自由にでき、またなんとなく辛い時の相談相手としても活用することができます。
専門家等とチャットで相談できるFemTechサービスは既に存在しますが、
①スピーディー:24時間直ぐに回答
②リーズナブル:人間が行うチャット相談よりも運営コストが低くリーズナブル
③包括的:同社の他の機能と連携することで、チャットだけでは解決できない課題にも対応
株式会社みんがく
オンライン自習室サービスを提供のみんがくは、ChatGPTが搭載された学習塾支援サービス「作文添削専門 国語の先生のBUKA」をリリース。サービスは、作文や小論文の添削に活用できるプロンプト(命令)がインプットされています。
作文や小論文の添削は、先生にとって時間のかかる作業で負担が大きい業務です。同サービスの活用によって先生の業務負担軽減が見込まれています。先生は心置きなく、生徒とのリアルな対話に時間が割けるようになると良いですね。
株式会社サイバーエージェント
メディアや広告事業を柱とするサイバーエージェントは、デジタル広告運用の作業時間の削減を目指して「ChatGPTオペレーション変革室」を設立。ChatGPTを活用して広告オペレーションの作業時間短縮し、事業の効率化に取り組んでいます。
最初は、社内コミュニケーション効率化のために導入して、徐々にメイン業をChatGPTに置き換えていき、広告オペレーションにかかる月間約23万時間のうち、30%の約7万時間の短縮を目指しています。
ChatGPTで代替えされ消える職業とその特徴
ChatGPTに入れ替わっていく仕事の特徴
・繰り返し、量産する単純作業
・類似パターンの学習により予測できる仕事
・基本ルールに沿って行う作業
・既存情報をもとに企画案を作る工程
ChatGPTによって消える、減少する仕事10選
・ライター
・校正・編集
・翻訳
・経理
・カスタマーサポート・オペレーター
・小売業
・農業
・物流・運輸業
・保安・警備業
・診断・画像解析
ChatGPTが精度の高い回答を返す仕組み
一言でいうと、ChatGPTはWeb上にあるデータを解析し、入力された質問へ回答を生成する仕組みになっています。
ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルの一種です。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、自然言語生成や言語理解、文章生成などのタスクに利用されています。
GPTは、GPT-2、GPT-3とバージョンアップしていて、前章で説明したGPT-3に人間のフィードバックを反映させた強化学習(RLHF)を用いて調整したモデルの「Instruct GPT」がベースにしています。
Instruct GPTは、GPT-3の問題点だった非道徳的な文章出力の可能性を「人間によるフィードバックを反映し低減させている」ことが特徴です。
現在はこのInstruct GPTをベースに、さらに人間との対話形式のデータを学習させたツールになっています。
ChatGPTを利用する上での注意事項
情報漏洩などのセキュリティリスク
ChatGPTに機密情報を入力すると、その情報が第三者に流出する可能性があります。ChatGPTはユーザーから得た情報を蓄積・学習しているため、どんな情報を入力しても、その情報はデータベースに記録されてしまいます。
セキュリティ面を考えると、インターネット検索よりも、ChatGPTの取り扱いには慎重になる必要があります。
ChatGPTは必ずしも正確な情報を出力するわけではない
ChatGPTに完全にコンテンツを任せると、誤った成果物ができる可能性があります。また質問に回答出力される情報は、毎変わっていきます。質問の回数とともに回答がブラッシュアップされているためだと考えられます。
データ倫理やAI倫理上の危険性
文章の生成を依頼した場合、回答には著作物の無断利用や権利侵害などのリスクが含まれます。
情報の盗用や、差別的な情報については、AIの倫理的な規定や制限に従う必要があり、これからAIの使い方による整備が進みます。同時に私たち利用者も、ChatGPTの使い方を考え、意識していく必要があるのは言うまでもありません。
小学校や中学校の教育現場では、生徒が自ら考えることなく、ChatGPT頼みになってしまうと「生徒の考える力を低下させてしまうのではないか?」と、懸念しているようです。
義務教育は、社会人になるために必要な知識を学ぶ大切な時間です。義務教育期間のChatGPTとの付き合い方は考える必要がありそうです。下のYouTubeは、そんなChatGPTの利用方法について議論している動画です。興味のある方はどうぞ
【ひろゆきvsサトママ】 ChatGPTは12歳未満禁止にすべきか?
ユーザー数100万人を達成するまでにかかった日数
インフォグラフィックから読み解く
インフォグラフィックはクリックすると拡大できます
ChatGPT:5日間
2022年11月30日にリリースされ、12月4日までにユーザー数が100万を突破と開発元のOpenAIが発表。
iPhone:74日間
2007年6月29日にアメリカで発売され、9月9日の時点で100万台のiPhoneを販売したことをAppleが発表。
Instagram:75日間
2010年10月6日にAppleのApp Storeに登場し、同年12月までに100万人の登録ユーザーを獲得。
Spotify:155日間
2008年10月にサービス開始し、翌年の2009年3月に100万人の登録ユーザーを獲得。Spotifyはスウェーデン国内でローンチされ、その後ヨーロッパ諸国へと進出。
YouTube:260日間
2005年12月15日から正式サービスとして開始。 当時の1日の動画再生回数は約800万回ほどでした。
Facebook:310日間
2004年2月4日に米ハーバード大学の学部生(マーク・ザッカーバーグ氏)が在校生向けに「The Facebook.com」の名前でソーシャルネットワーキングのサイトを公開したのが始まりです。
Twitter(現在:X):730日間
2006年3月21日に起業家の一人(ジャック・ドーシー氏)が世界初のツイートをしたのが始まりです。
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